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同人ゲーとかとシェアワールドの話です。長いです。

『シェアワールド』とか『シェアードワールド』とか呼ばれるものがあります。
世界をシェアする。
つまり、幾つかの作品の中で世界観を共有する、と言うことです。

これはパラレルワールドじゃありません。
地平面的にも年表的にも一つにまとめて矛盾なく、或いは矛盾が出てもそれを回収できる仕掛けがなければなりません。
だから、単なる二次制作の同人活動はシェアワールドとは言いきれないようです。

僕が知っている有名なものは、やはり『クトゥルー神話』(『ク・リトル・リトル神話』)ですね。
ラブクラフトが利用した設定をダーレスが神話大系としてまとめたものです。
これなんかはそれこそダーレスからデモンベインから佐野史郎まで世界観をシェアして作品作りをしていますね。
それに、クトゥルー神話の古き神々の在り方や考え方を援用すると、ラブクラフト以前に書かれたマッケンの『パンの大神』なんかも「あれはクトゥルー神話だ」として世界観の中に飲み込むことが出来ます。
或いは「プラトンが著作の中で『アンドロギュヌス』について語っているが、あれはクトゥルー神話大系の一部に入らないか?」とか言う遊びも出来るわけです。
クトゥルー神話事典なんてものには歴史年表までついています。
似たようなのに図説だのガイドブックだのエンサイクロペディアだの、なんともすごい。
もうこれは他の追随をゆるさないものがある。



漫画なんかだと「マーヴェルヒーローもの」ですね。
作品同士がクロスオーバーして、例えばバットマンとスパイダーマンが戦ったりスポーンの所為でXメンが困ったりしている。
これも「マーヴェル」という世界観を共有している。
ただクロスオーバーは後発的に同じ作品の中に詰め込んだだけで、正確には世界観の共有と言うよりもキャラの競演と言う感じがしないでもない。
「シェア」と「クロスオーバー」の違いはそれじゃないでしょうか?
クロスオーバーさせる場合の最大の目的はキャラ同士の競演ですから、あくまでも後から同じ土台に人形を据えるわけです。
一方で「シェア」は先にある土台があって、そこから始めるわけですから、他作品のキャラが出て来る出てこないはどうでもよろしい。

こう考えると、ある意味では「オンラインゲーム」や「TRPG」はシェアワールドです。
自分が主人公に見立てて、それで作品が出来れば良いわけですから、もう際限なく作品が出来る、出来ているとも言える。
実際「メールゲーム」とか「メールRPG」と呼ばれていたものでは小説化が必要だったりします。
これはTRPGみたいなもんですが、ある設定のもとに何人かの人間が「自分はこういうキャラ」「こういう行動をする」とか書いて郵送します。
そうすると管理者が何十枚だか何百枚だかの郵便を一本の筋にまとめて「再現(リプレイ)」します。
で、これが大抵は小説の形式を取るものだから、必要上作品は産まれざるを得ない。
こういうのでは特に有名なのは『蓬莱学園』シリーズがあるそうです。
wikiでしらべましたんで→wiki蓬莱学園

さて、ある意味で最大のシェアワールドを獲得しているのは『神話』と『現実』でしょう。
『現実』についてはこの際、省きます。
なにをか況んや、です。
『神話』に関して考えると一番多いのが『ギリシア神話』の世界観を利用したもの『神道神話』、『北欧神話』を利用したものでしょうか?
オディッセイアも変身物語もシェアワールドと言えます。

ただ、これらはやはり『クトゥルー神話』とは違う様に思います。
というのはクトゥルー神話がほとんど作品を作って行くことによって世界観が広がって行くことに対し、オディッセイアも変身物語も決められた枠内からは出れないからです。
世界観がはっきりと決められすぎているのです。
世界観を広げようとすると、どうしても名前や個性を利用したパラレルワールドになってしまいます。
これは重要だと思います。
あくまで『作品を作って行くことで世界観が広がる』というある種の隙や隙間が面白さなのです。
ベースとなる設定が面白いに越したことはありませんが、『謎』や『未知』や『描かれない部分』が面白さを生む様に思います。

そういえば、今期からやるポリフォニカ二期もシェアワールドだそうです。
ちょっと見てみたら、ラノベが幾人かの作家によって書かれているみたいですね。
でも、近い期間でおなじ出版社でやられている。
これは世界をシェアしてはいるんですが、いささか退屈なような気がします。
シェアワールドが素晴らしいのは作品の世界が開かれていることだと思います。
つまり、自由にその世界観を利用、参入できると言うこと。
同じ出版社で同じような期間に仕掛けたら、やはり世界としては閉じているような気がします。
その点で、やはりクトゥルーは優れている。

で、思うのですが、同人活動なんかではどの程度やられているんでしょう?
僕は実際を知りません。
ただ、一般の出版社と出版社の関係よりはサークル同士の関係の方が気軽そうな気はしていますし、つながりをどんどん広げられそうな気がします。
「こういう世界観で作品を作りたいんだけど、これ利用しない?」
とか
「その世界観を利用して作品を作っても良い?」
とか
そういう広がり方は幾らでもあるんじゃないかな、と思います。
勿論、単なるキャラの利用や転用ではなく『あくまで世界の共有であり、独立の作品でなければならない』という話ですが。
相互で世界観を広げたり、通史として矛盾ない様に辻褄をあわせたりは必要でしょうけれど、それは面白みにつなげられると思います。
或いは、幾つかのサークルが集まって一つの世界観を作り上げてそれぞれに作品を作ると言う形もあると思います。
ただ、それが閉じられた形ではなく「その設定で自分もやりたい」と思った人達に開かれていなければならないし、そういう魅力ある設定は必要です。
他作品の世界観をシェアすることに特化したサークルってのもおもしろいかもしれない。
もしくは世界観や設定を入念かつ魅力的に、それでいて自由度が高く作れれば、それを幾つかのサークルに売り込むと言う方法もあるでしょうか?
勿論、作品が出来るごとに通史の編纂や諸般の整理も必要でしょうけど。

もともと『シェアワールド』というのは作家同士のお遊びに近いものがあったようです。
基本的には『その設定いいな』とか『その設定ならこういうアイデアあるね』ってことで始めます。
で、作品は『独立した一作品として確立されている』ことが必須。
元ある設定の中でキャラを動かしてるだけでは意味がないと思います。
勿論『その世界観に矛盾しない、矛盾は回収される』ということも。
矛盾が回収されるとは、例えばギリシア神話を例にとると「実はアポロンは女だった」という矛盾を提出する場合、どこかで「そういう古文書を発見した」とか「異聞が伝わっている」とか「異端だが」とかにしないとパラレルワールドになる。
パラレル化すると、もうなんでもよくなっちゃうので、これは面白くない。(どこまでも広がると言う楽しさはあるけど、無限と言うのは手に余る)
同時に『世界観が拡大する、解明がある』というのが望ましい。
逆に言えば、その世界に伸びしろや隙間や謎や語られざるものが多くあるのがいいと思いますね。
もう一つ付け加えるなら、それによって他作品を解明し直したり、色々とこじつけることも可能であればよい。
一人で何かを作っている場合、どうしても横から別の要素を入れて「ねじれ」を起こそうとしても難しくなったりします。
それが何人かで作品世界を共有することで予想外の広がりやねじれが生じたりする。
また同時に解明することにもかかわるんですが、『解明する作業はやはり過去に対して』、『クエストする場合は未来に対して』起こるとよろしいかと。
まあ、これは普通の話ですが。
オイディプスの場合とビルドゥングロマンスの話ってとこですか。

まあ、でもこういうのの難しいところは『完全に異世界、異時間』にするか、『ベースは現実』かの選択でしょうか?
異世界ものは確かに幾らでも広げられるけど世界が閉じやすいし、魅力ある世界をどれだけ作れるかははなはだ疑問。
現実の場合は、それこそ『古き神々』が宇宙からやってきたというような世界観や「ネクロノミコン」や「エイボンの書」を現実世界の隙間に入れることが出来ますから、汎用性が高いです。

ともあれ、なんとなく昔からシェアワールドっておもしろいと思っています。
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